「ジェ、ジェイド・・・いや、ジェイド様」

用がある、と言って街に出ていて、今しがた宿に帰って来たジェイドを呼び止める。

「・・・どうかしたんですか?

「えっと・・・その・・・」

「私に用があるんでしょう?ハッキリ言いなさい」

言葉を濁し視線を泳がす私にジェイドは痺れを切らしたように言った。

「ジェイド!!あのね」

「はい」

「ケント・デリカットやって!!」

「はい?」

ジェイドは呆気に取られたような、いや、確実に呆気に取られ目を白黒させた。

「言ったよ!これでいいんでしょ?!」

「言っただけだろ〜」

「そうそう、大佐まだやってないじゃん」

私がそう言うと、後ろからルーク、アニスを筆頭に全員が顔を出す。

「何の話ですか?

黒い笑顔を浮かべ私に詰め寄るジェイド。

この笑顔が出たからにはおそらく誰も助けてはくれないだろう。

「何で私に聞くかなぁ?!」

「事の発端は貴方でしょう」






















「罰ゲーム?」

「イエス」

「何のです?」

「カードゲームですよ〜ルークが荷物漁ってたら出てきたらしくて」

アニスがジェイドの質問にあたかも楽しそうに(事実楽しいんだろうな)答えた。

「一番乗りが一番ドベに罰ゲームを命令するっていうルールで」

「で、 がドベだったんですね」

「うぐっ・・・!!」

私がそう付け加えるとジェイドの痛い突っ込みが鋭く入った。

「一番は?」

「アニスちゃんだよ〜」

可愛らしいポーズを取りながらアニスが答える。


「アニスとティアとナタリアはともかく、ルークの奉公人時代にやった時は私、ルークとガイには勝てたんだよ?!」

「前の罰ゲームがあまりにも酷かったからルークと特訓したんだよ」

「どんな罰ゲームだったんですの?」

ナタリアが怪訝な表情で問いかける。

「ガイにはファブレ家メイドのスカート捲り。で、ルークは私の格好させて公爵と食事」

「プクク」

「クスクス」

「笑うな!そこ!」

ゲームをこなす二人の姿を想像したのか、腹を抱えて笑いを堪えるアニスとティアをルークが顔を赤らめて制止をする。

「あら、あれ罰ゲームだったんですの?」

「当たり前だろ!!何だと思ってたんだ」

「だってガイの女性恐怖症をオイシイ思いと共に克服させてあげたかったし、ルークと公爵はもっとフレンドリーになって欲しくて・・・
それに、気になるでしょ?メイドさんが本当にガーターベルトとかつけてるのか・・・いて!」

ガイに剣の鞘で殴られた。

「数日間、父上は口聞いてくれなかったぞ」

「それに比べたら可愛いもんだろ」

「あ、大佐もやりません〜?折角帰ってきたんだし」

「いいですよ。勝者は敗北者に何でも命令出来るんですもんね」

「・・・・・絶対にジェイドを勝たせるなよ」

妖艶な笑みを浮かべるジェイドを尻目にルークが呟いた。

















「ま、また負けたーーー!!!」

数十分後、宿屋の一室に私の悲痛な叫びが響く。

「あはは! よっわーい」

さん、元気出すですのー」

部屋の隅で頭を垂れる私をアニスがからかい、ミュウが慰める。

「二連敗は流石に落ち込みますわよね」

「アニス、あんまりからかうと可愛そうよ」



「ね、一番って・・・誰だっけ・・・?」

ティアに心の中でお礼を言いつつ、恐る恐る顔上げた。






























誰が一番?


ルーク

ガイ

ジェイド