時刻は午前2時。

多くの団員が眠りにつく頃。

そんな中、唯一例外なのが仕事が死ぬほどある科学班と


「お腹減ったー・・・神田、何か奢ってー」


任務から戻ったエクソシスト。


「食堂行けば何かあんだろ」

「ま、そうだね」

























「・・・・・ねぇ、神田くん。食堂行けば何かあるんじゃなかったの?」

無人の食堂と厨房を見て が呟いた。


朝の早い調理班たちは既に眠りについているらしく、食堂全体は空しく照明が落とされていた。


「こんな真っ暗な食堂じゃ、ご飯にありつける希望がお米一粒も無いじゃん!!」

「俺に八つ当たりすんな」

「じゃあ誰に八つ当たりすればいいの!?六幻?!六幻ならいいのかよ!!」

「俺の所有物にも絡むな!!」

「あ"ーーーー・・・お腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいた・・・もうこの際何の肉でもいい。食わせろ」

「一生やってろ」

「・・・ねぇ、人間って哺乳類だよね」

「・・・・・それがどうした」

「クジラも哺乳類で・・・昔は食べてたんだよね、クジラ」

「・・・・・」

「同じ哺乳類なら人間って食べれると思う?つーかエクソシストの肉って普通の人間と違うのかな?」

「真顔でエグい事言うな。そしてそんな目で俺を見るな」

「こんなにお腹減ってたら眠れないよ!!ねぇねぇ、厨房に行けば食材くらいはあるよね?!」

「忍び込むつもりかよ!!付き合ってられるか。俺は部屋に戻るぞ」


そう言った瞬間、空間内に気の抜けた腹の虫の声が鳴り響く。


「なんだ、神田もお腹空いてんじゃん」


神田は舌打ちをすると、厨房に繋がる扉のドアノブを豪快に蹴り上げた。

すると、ドアノブは音を立てて床に転げ落ちた。


「あらら。派手に壊したね。ドア」

「うるせー。とっとと食うもん食って帰るぞ」





「うわぁ・・・厨房なんて始めて入った!」

厨房内を見回し歓喜の声を上げる

「騒ぎになるから、あんまり周りのものには触んな」

真っ直ぐ冷蔵庫に向かう神田に は、いや、もう扉ブッ壊した時点で大騒ぎだから、と心の中でささやかな突っ込みを入れた。

「これバレたら確実にジェリーさんに料理されるね」

そう言いながらも神田と一緒に冷蔵庫を覗く。



「おぉ!見て!熊の左腕がある!!」

「いつ使うんだ、それ・・・」

「うわっ!!ねぇ、サソリ入ってる!!タッパーにだけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちょっ!まだ生きてるし!!生きたまま冷蔵庫入れてる?!」

「アリやハチの幼虫とかも入ってるぞ・・・」

「誰が食べるんだと思う?」

「コムイだろ」


「・・・ねぇねぇ、これ何だと思う?」

「猿の脳みそ・・・か?」

「・・・・・誰が食べるのかな・・・」

「コムイしか居ないだろ」

「珍食材は全部コムイさんですか」


冷蔵庫の中身を漁る事に熱心になる2人。

最早、当初の目的は半分忘れているだろう。


「冷蔵庫の中って面白いね〜・・・・・・・・・・・・・・」

珍しい食材の数々に上機嫌だったはずの は一つの瓶を見つけた途端、顔を青ざめた。

「何かあったのか?」

「・・・・・・・ねぇ、この調味料・・・賞味期限が20年前・・・なんだけど」

「・・・よく見たら、この辺の野菜も黒ずんでるぞ・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・絶対にジェリーを怒らせるなよ」

「そうだ・・・ね・・・嫌がらせに使われたら堪ったもんじゃないもんね」


「そういえば教団って世界中の国々の人が集まってるんだよね」

「それがどうした」

「神田って日本だったよね。どんなの食べてたの?」

「俺は・・・」

「ぎゃぁあああああああ!!」

金切り声のような叫び声と共に隣の神田に抱きついた。

「なッ!何すんだ!!」

突然の出来事に顔を赤くする神田。

「ゴキッ・・・ゴキブリ!!ゴキブリ!!!冷蔵庫の一番下の棚!!」

の指した先には海藻らしきものが無造作に置かれていた。

「よく見ろ!ただの海藻だ!」

「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、本当だ・・・・」

「・・・・・」

「あはははは!ご、ごめんね!何か昔からアレだけは苦手で・・・」

「・・・・・」

離れようとしたが、神田に逆に腕を回され抱き寄せられる。

「・・・・・あの、神田さん?」



「人の厨房で何してんのよ」



二人の背後に仁王立ちするジェリー。

「ジェリーさん・・・?!お、お早いお目覚めですね・・・!!」

は慌てて神田を突き飛ばし、ジェリーを見上げた。

「部屋の隣であんだけ騒いでたら、誰だって起きるわよ」

その顔は不機嫌そのものだった。

「隣の部屋だったんだ・・・知らなかったなぁー・・・ね、神田」

「・・・そうだな・・・」

「アタシの厨房を汚した罪・・・・・分かってるわよね?」

「「・・・・・」」










二度と厨房なんか入るか、そう心に決めた2人だった。

























―オマケ―


「あれ? に神田、何してるんですか?」

「・・・アレン君・・い、一日、調理班体験・・・かな」

「へぇー。 、エプロン似合ってますよ(←この辺が英国紳士らしい)」

「あはは。ありがとう」

「オイ、モヤシ。後が詰まってんだから用が無いなら失せろ」

「ブククー!!か、神田!割烹着、最高に似合ってますよ!!写メ撮っていいですか?!」

「ア、アレン君!写メなんかこの時代にないよ!・・・って、神田!!こんな所で六幻抜かないで!!」

「うるせー!!コイツだけはブッ殺す!!」



















―あとがき―

サソリとか猿の脳みそはテレビで前あったので・・・
美味しい・・・らしいですよ。