本日の任務はラビと街に大量発生したアクマの破壊。

場所は雪の多く積もる街。





「・・・・・寒い」

「へ?」

振り向くと、ラビがポケットに手を入れ、マフラーに首を埋めていた。

確かに雪が舞い積もるここは寒いだろう。

「マフラーしてるんだから我慢しなよ」

コートだって特製なんだから、と言い足す。

「コート着てたってマフラーしてたって寒いものは寒いんさー」

ラビはそう言いながら唇を尖らせた。

「情け無いなぁ・・・」

私は溜息をつくと、ポケットに入れておいたカイロをラビに渡した。

「それなら温かいでしょ?貸してあげる」

もう文句は無いと思い、踵を返して歩を進めた。


私だって本当は寒い。

早く任務を終わらせて、温かい部屋・・・この際、汽車でもいいや。とにかく休みたい。

だから早く終わらそうとアクマを探しているってのに。















それから暫く街中を歩いているとアクマが襲ってきた。

レベル2が2体とボール型が5体。(ラビカウント)

それが合図だったのか、その後にレベル2が6体、ボール型が18体。(ラビカウント)

アクマの多さに嫌気がさしたけれど、元から人気のない街だったからあんまり騒ぎにはならなかったのが救い。





「さーむーいー」

「またぁ?」

アクマ退治を追え、教団に帰るべく帰路につく途中。

ラビが再びぼやいた。

は寒くないんさ?」

「別に・・・今さっきまで動いてたし・・・ていうか、さっきカイロあげたじゃん」

「これ小さいからあんまり温かくないんさ」

「マフラーして、コート着て、カイロ持って温かくないって・・・ラビはどうすれば温まるわけ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・あ」

沈黙ほんの一泊の沈黙の後、ラビは何かを思いついたような顔をした。

「?」

怪訝な表情をしていると、ラビが勢いよく抱きついてきた。

「な?!ちょっ・・・何?!」

「やっぱり、人の温度が一番あったかいさ」

「はい?!」

も温まったんじゃない?特に顔が」

ラビの方からは私の顔は見えないはずなのに、図星をつかれ、更に顔を赤くした。

「うっさい!今すぐ離れろ!」

「オレが温まるまでヤダ」

「あーのーねー!」





ラビの言うとおり、人の温度が一番温かいのかもしれない。

だって、悔しいけどいつも温かいと思う教団のコートより温かかったから。