見覚えのある後姿を見つけ、声をかけた。

「あ、アニス」

すると、後姿は人懐っこい笑顔を浮かべ私に振り返った。




私はローレライ教団のフォンマスターガーディアンのアニス。

イオン様の護衛で世界の各地に行けるのはいいけど、時給は安いし、ご飯もこれといって美味しい訳でもない。

制服が決まってるから、これといったオシャレも出来ない。

一緒に教団に入った友達も次々と辞めていった。




は預言士で、私より年は上だけど仲がいい。

「ねー、明日暇?久しぶりにどっか行こうよー」

「ごめん、残業があるから明日は休日返上」

「ぶーぶー!そんなの適当に誰かに押し付ければいいのにー」

生真面目な性格の らしいな、と心の中でため息をつく。

「そういう訳にはいかな・・・アニス!隠れて!」

「ふぇ?!」

大聖堂から出てきた人物に、私は に連れられて柱の影に隠れた。

そして、その人物を見て、頬を紅潮させた は呟いた。

















「はぁ・・・モース様・・・!」
















「・・・・・ ってさー」

「ん?」

「趣味悪いよね」

「何だと?」

「だって、どうしてモース様な訳?」

の剣幕に怯む事なく私は突っ込む。

そう、 はモテるんだ。

可愛らしく、それでいてどことなく漂う気品。

預言を読む姿はさぞかし神秘的に見えるだろう。

「アニスちゃん、知ってるんだよー預言読むために行った貴族のお坊ちゃんに告られたんでしょ?」

預言を読む事が出来るのは、お金のある貴族だけ。

だから、よく は預言を読むために訪問した貴族に見初められる事が多い。

「うっ・・・!何故それを・・・!!」

「しかも、それを断ったとか!あーもー勿体無い!!」

玉の輿狙いの私にとって、それは羨ましい限りで。

「いいの!私はモース様一筋なんだから!」


「私がどうかしたのかね」


「モ、モース様?!」

「・・・モース様・・・」

突然思い人に声を掛けられ、戸惑いと喜びの表情を浮かべる に対し、少女漫画のような王道的展開に思わず表情が歪む私。

「えっと・・・その・・・」

、思った事ははっきりといいなさい」

あれ。物事をはっきり言わない人間をモースは嫌うのに。

やけに には言い方が柔らかいのではないか。

これはもしかすると・・・。

鈍い にそんな人の態度や表情、話し方の違いは見抜けないだろう。

これが、相手がせめてアッシュとかなら、少女漫画のように微笑ましく見守るものの(時々その王道展開に突っ込みたくなるけど)。

「それとも、私には言えない事かな?」

「そ、そういう意味ではないです・・・!」

「言ってみなさい、

そう言って、 の頬にゆっくりと触れるモース。

「・・・あ・・・あの・・・わた、私・・・」



・・・何か、昼ドラを生で見てる気がしてきた・・・

勿論、テーマは「禁断」。

もしくは、美少女に手を出す中年男と言ったところだ。

相手が変わるだけで少女漫画から昼ドラへと変わるのか。




私は、何だか胃が痛k・・・見てられなくて、その場を去ることにした。

どうせ、この後の展開なんて、察しのいい読者さまには読めるだろうし、何より私の健康上(特に胃)これ以上は耐えられそうになかった。

二人にバレないように・・・・・いや、もう二人の視界と意識には私は入っていないだろう・・・・・・ゆっくりと、且つ迅速にこの場を離れた。









次の日、 ののろけ話を延々と聞かされたのは言うまでも無い。





































―あとがき―

新たな扉を開こう、という事でモース夢です^^
書いてて胃が痛くなりそうになりました。
果たしてこれが夢と言えるものなのか(いろんな意味で)私にはこれが限界です。
ていうか、アニスは物語が始まる前にアッシュと会ってませんよね^^;(失敗)
非常に無責任ですが、苦情は受け付けません;;;;;
もっと濃厚なモース夢を見たいという要望はお聞きします(まず無いよ!)